離婚原因

  • HOME>
  • 離婚原因

離婚に向けて

協議離婚では離婚理由は問われませんが…

協議離婚では離婚理由は問われませんが…

 離婚するための手続きには大きく“協議離婚”“調停離婚”“裁判離婚”の3つがあります。
これらのうちほとんどのケース(全体の約9割)では協議離婚を経て離婚成立に至っています。
協議離婚とは夫婦同士の話し合いだけで離婚を成立させる方法で、お互いに離婚に合意し、市区町村役場に離婚届を提出し受理されれば成立します。
この時、離婚理由は問われず、夫婦が合意していればどんな理由でも離婚することができます。

調停・裁判の提起

相手方が、話し合いに応じないとか夫婦同士の話し合いでは合意に至らず離婚が成立しないという場合には、調停・裁判を利用して解決をはかることになります。
調停離婚では2名の調査委員と裁判官からなる調停委員会が、夫婦それぞれの意見を調整し、解決に向けてアドバイスしますが、強制力はありません。
また裁判離婚は裁判所の判決によって離婚を成立させる方法ですが、原則的に、調停を経てからでないと受け付けられません。

裁判で離婚するために必要な条件・破綻

本来、夫婦は両性の合意において成立するものですから(憲法の定め)、片方が嫌だと言えば、夫婦関係は成り立たないことになります。しかし、婚姻も契約の一種ですから、片方が勝手に嫌だというのを全て認めることは、安易な契約違反を認めることになります。そこで、民法770条は、夫婦関係が破綻していることをもって、法的な離婚を認める条件となしています。ただ、かっては、民法770条の解釈を有責主義によるものと解釈され、相手の有責性を証明しなければ、離婚が認められないあるいは有責者からの離婚は認められないという解釈が採られていましたが、現在は、破綻していれば離婚を認め、例外として離婚を認めることが権利濫用に該当する場合にはこれを認めなかったり、附帯条件を厳しくすることになっています。
では、裁判を起こして離婚をするためには、どのような要件が必要になるのでしょうか?
民法第770条1項5号において、“その他、婚姻を継続しがたい重大な理由の存在”というものが設けられています(※詳しくは次の項目でご紹介します)。
これが“結婚生活が破綻している”という離婚条件で、具体的な事実の主張と証明が求められます。

性格の不一致のみで離婚が認められるか

性格の不一致のみで離婚が認められるか

文字通り、生活姿勢や子供の教育方針等について価値観や考え方の違いから、相手方に対し否定的になり、喧嘩が絶えない、言い争いばかりしている、あるいはまったく会話がないというような場合、夫婦の性格が合わないということを総称して性格の不一致といいます。

もっとも一般的な条件ですが、ゆえに相手方が争った場合、明確な証明に乏しく、証明が困難な条件ですが、要するに破綻が認められれば可能です。

性格の不一致による破綻の証明方法

明確な意思を表示した文書やメールのやりとり等の客観的な証拠が残されていれば証明ができますし、調停や訴訟になった場合、破綻を争いながらも、責任転嫁や相手の批判ばかり繰り返せば、破綻関係は容易に認定されますが、そうでない場合に、最近多く認められるのが、別居の事実と期間です。
これにより、性格が合わないという経験則的な推定が働くからです。破綻の証明手段としての別居は、破綻を象徴する客観的な事情が必要で、単なる単身赴任は破綻の結果としての別居とは認められません。その経過や事情の内容により、短期の別居でも認められあるいは長期の別居でも認められないことがありますから、別居していなくても破綻が認められることも在り、逆に別居していても絶対条件となるわけではありません。

別居期間

別居期間が、数カ月でも、片方の離婚の意思が固く、他方が関係修復の努力をすることなく相手を批判ばかりしている場合には、直ちに破綻の事実が認定されても仕方がありません。他方、長期別居でも、それが単身赴任や、定期的に交流があったり、経済的な保障関係が認められば、容易には破綻の事実は認められません。
別居していない場合や別居して間もない場合、私の経験から見ると、総合的に事情を検討して、理不尽であるか否かによって(権利濫用の法理)、可能である場合と不可能な場合に分かれるようです。例えば、夫婦に子供が無く、双方の収入等が同程度ある場合等では、比較的容易に認められることが多い様です。また、子供がいても、経済的強者(通常男性)が、経済的弱者(通常女性)に対して、客観的な離婚原因が認められないのに、離婚を求める場合には、未だ破綻しているとは認められないと判示され、逆に、経済的弱者が、経済的強者に対し、離婚をもとめる場合には、客観的な離婚原因が認められなくても比較的容易に破綻が認められる傾向にあります。その場合、裁判官は、離婚を求める側に、絶対に嫌なのかと重ねて念を押します。これは、客観的に十分な破綻原因の証明が為されなくとも、よっぽど苦痛なんだという夫婦の破綻の推定が働き、しかも権利濫用を考慮する必要(保護する必要)が無いからです。なぜなら、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する(憲法第24条)ものであるところ、片方の意思が存在しないという事実が明らかに認められるからです。ただ、相手方や子供の保護を図る必要があると認められる場合(非常に多い)には、その一方的な意思や別居期間だけでは、これを許さないというのが実務です(実務的に原則と言っていいほど多く認められます)。

別居後の男女関係発覚

 経験則的に見て、同居中に特に破綻原因が認められなかった夫婦でも、年単位を越せば、修復はあり得ないと考えられます。他方、別居後間もなく他の異性と男女関係にあることが認められた場合、破綻後の行為であるから離婚原因にならないという主張は認められないというか、その関係は、経験則的に見て、別居以前から存在したものと認めるのが、合理的であり、多くの先例も同様の判断を示しています。別居後の男女関係は、破綻の原因ではないという古い先例がありますが、その事案は、養子に入ったが、理不尽に追い出され、10数年後に相手が見つかって一緒になったと言う具体的な事実認定がなされているものであり、現在においては、少なくとも年単位を経ないと、他の異性との男女関係が発覚した場合、破綻の原因ではないという主張が通るのは難しいのではないかと思慮します。
すなわち、多くの判決を見ていると、同居期間中の破綻が証明されなくても、片方の意思が固く、相手方の具体的な修復に向けての行為が認められなく、信義則的に見て特別の事情が認められない場合には、別居が1年を超えると、破綻と認定される場合が多いように見受けられます。

DV・モラルハラスメント

 蹴る・殴るなどの肉体的な暴力(DV:ドメスティックバイオレンス)のほか、何度も「死ね」と言われたり、「役立たず」と言われたり、長期間無視されたりするなどの精神的な暴力も含まれます。これも、必ずしも、容易に証明できるとは限りませんが、文書、メール、録音、写真、診断書(傷害)等がよく用いられる証明例です。但し、精神科の診断書には、証明力はあまり認められないようです。患者の言い分のみを聞いて容易に書かれるという経験則が存在するからでしょう。

その他

  • 浪費や個人的借金
  • 家事や育児にまったく協力しない(家庭をかえりみない)
  • 配偶者の親族との不仲
  • 過度な宗教活動
  • 過度な飲酒による家庭の崩壊
  • 重い精神病以外で、重篤な病気を患っている場合

などが、よくある事例ですが、要するに当事者の心が離れたことが認められれば、理由の如何を問わず、破綻と認められることになります。婚姻は当事者の意思のみにより成立する(憲法)基本的人権だからです。
慰謝料を請求する場合には、相手の有責性(不法行為)を主張し客観的な証拠や経験則で証明する必要があります。
なお、性生活の拒否を破綻の原因であると主張する弁護士さんも少なくありませんが、性生活の拒否自体は破綻の原因ではなく、破綻の結果ですから、拒否をする理由を作ったものにその原因があり責任があるというのが原理です。性交渉をするか否かも、当事者の意思のみにより可能な基本的人権の一つであり、婚姻関係という法律的関係で強制される性質のものではないからです。

離婚原因がある側から離婚する場合は?~有責配偶者の離婚条件~

不貞配偶者からの訴訟が認められるケースも

不貞配偶者からの訴訟が認められるケースも

従来は、裁判所は有責配偶者(不貞)からの離婚請求を、全く、認めていませんでした(儒教思想によるものでしょうか)。
現在は、関係が完全に破綻してしまっている夫婦に戸籍だけの関係を強要するのは不自然という考え(破綻主義)から、夫婦関係が完全に破綻してしまっている場合には、一定の条件のもとに、請求が認められるようになりました。

有責配偶者に求められる基本的条件

昭和62年、最高裁判所によって示された三つの条件(年々緩和される傾向にあります)。

その1長期の別居期間

夫婦が別居してからかなりの期間が経過していることが求められます。
なお、何年と具体的な期間の基準はなく、あくまで他の2つの条件等との兼ね合いでケースバイケースとなりますが、一応7年という基準があります(福岡高等裁判所)。

その2小さな子供がいない

未成年で親の養育が必要な子供、病気の子供など、経済的に自立できない子供がいる場合、これも他の条件との兼ね合いですが、一応、高校卒業以前という基準があります(福岡高等裁判所)。両親の都合で離婚に至る場合、子供には何等の罪はなく、子供が一番の被害者だからであり、最高裁判所は子の福祉を一番重視していると思慮します。

相手側が過酷な状況におかれない

離婚により相手側が経済的・精神的なダメージを受け、過酷な状況におかれないかどうかが重視されます。相手の年齢が高かったり(就業可能性)、手に職がない(収入可能性)等の事情があれば、相応の生活保障が求められ、逆に相手が裕福であったり高収入が見込まれる場合などは、要件が緩和されます。

要するに信義則

要するに、信義則の適用例の一つであり、個々の条件で、形式的に判断されるものではありません。

092-714-4554

24時間
WEB
相談受付中